ABC予想とフェルマーの最終定理

ちょっと前に流れたこのニュースを見て、おおっと思いながらわからないのにまたWikipediawikipedia:ABC予想)を眺めたりしていたのだが、やはり気になるのはこの部分。

整数論の代表的難問であり、解決に約350年かかった「フェルマーの最終定理」も、この予想を使えば一気に証明できてしまう

ググったりしていると、これについてとてもわかりやすい説明があったので書き出してみる。

用語の定義

abc-triple

正の整数 a, b, c について、a + b = c かつ a, b は互いに素である三つ組 (a, b, c)

rad(n)

正の整数 n の、互いに異なる素因数の積
例:\mbox{rad}(504) = \mbox{rad}(2^3 \cdot 3^2 \cdot 7) = 2 \cdot 3 \cdot 7 = 42

ABC予想

(a,b,c)が abc-triple ならば、c < \mbox{rad}(abc)^2 が成り立つ。
(これは強い形の予想で、今回証明されたのはもうちょっと精密で弱い形のようだけど)

フェルマーの最終定理

3以上の整数 n について、 x^n + y^n = z^n を満たす正の整数 (x, y, z) の組は存在しない。

ABC予想フェルマーの最終定理

背理法による。 x^n + y^n = z^n を満たす正の整数 (x, y, z) が存在すると仮定する。
a = x^n,\: b = y^n,\: c = z^nとすると、ABC予想より
\LARGE z^n \lt \mbox{rad}(x^n y^n z^n)^2 = \mbox{rad}(xyz)^2 \le (xyz)^2 \lt z^6
よって n < 6 であるが、n = 3, 4, 5 についてのフェルマーの最終定理オイラーフェルマー、ディリクレによって証明されているので矛盾する。□